日向旦『世紀末大バザール』

世紀末大バザール 六月の雪
世紀末大バザール 六月の雪

 世紀末の1999年5月、地球滅亡まであと4週間から2ヶ月だと思い込んでいる本田巧は、地球が滅亡する前に自分が飢え死にしそうだった。地球最大最後のイベントを見逃してたまるかと食い扶持を求めて得た仕事は、「探偵」――依頼人であるお好み焼き屋で出会った怪しげな男、根来に連れられて和歌山までやってきたが、そこは雑多な店々や人々が詰め込まれた一大モール。共同体のようにして助け合い暮らしている彼らのリーダー、源さんから、本田は子供二人の誘拐(家出?)事件を捜査してほしいと依頼される。お目付け役の美少女(?)と一緒に捜査に乗り出すが、行く手には2つの密室事件が・・・!

鮎川賞佳作。大賞ではないけれど、鮎川賞から本が出るのも久しぶり。
本格ミステリではない」という選考委員の意見に対して山田正紀先生が「解説」でえらく擁護していますけど、普通に面白いミステリでした。謎解きの要素もあるし、最後の真相もなかなかのものだし、十分に楽しめました。「広義の」本格ミステリといっていいのではないでしょうか。
まあ突き抜けたところがないのがいかにも新人っぽく、物足りないところではありますが。
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