貫井徳郎『愚行録』

愚行録
愚行録

東京都内の一戸建て住宅で、幼い子供を含む田向家一家4人が惨殺されるという凶悪事件が発生した。現場には犯人を特定する手がかりは残されておらず、怨恨か無動機かも警察には判断できなかった。夫は大手ティベロッパーに勤めるエリート、妻は人をひきつけずにはおかない美人、健やかに育っていた子供たち。幸福を絵に描いたような家庭はなぜ狙われたのか。捜査が暗礁に乗り上げかけたころ、事件に関心を持つルポライターが、被害者の周辺にいた人々にインタビューを行っていた・・・。

幸せな家庭を襲った悲劇、被害者たちは非の打ち所のない人格を持っていたように思われたが、ルポライターによるインタビューの蓄積は、彼らの送ってきた人生の醜悪さを一つ一つ暴き出していく・・・。
なんとも嫌な人物造形ですが、それだけで終わらないのがこの作品の素晴らしいところ。真相は別に驚きはしないんですが、読んでいるほうも彼らの暗黒面に引きずり込まれるような感覚に陥ります。どっぷりと暗くなるので読むときの気分が大事かも。
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