三津田信三『凶鳥の如き忌むもの』

凶鳥の如き忌むもの (講談社ノベルス)
凶鳥の如き忌むもの

黒い巨大な禿鷹が舞う孤島・鳥坏島で、謎に包まれた祭祀「鳥人の儀」が十何年ぶりかに行われることになった。しかし過去に行われた「鳥人の儀」では、儀式を執り行う巫女をはじめ、参加者6名が行方不明になるという怪事件が起こっていた。この怪事件を聞きつけた作家の刀城言耶は、知人のつてで「鳥人の儀」への立会いを許される。刀城をはじめ儀式のために島に渡ったのは、巫女の朱音を含めて8人。孤島の断崖絶壁の上に築かれた空中庭園のような拝殿に一人篭もった巫女は、いよいよ「鳥人の儀」を開始する。しかし儀式が終わった後、完全に出入り口をふさがれた拝殿から、巫女は忽然と姿を消していた。巫女はどこへ行ったのか? 「鳥人の儀」とは何なのか?

本格ファンに好評の『厭魅の如き憑くもの』の続編がもう登場。作家の刀城言耶が各地の怪異習俗を訪ね歩き、恐ろしい事件に巻き込まれるシリーズ第2弾。
前作はホラーテイストの本格ミステリという感じでしたが、今回は全体の8割は堂々のロジック方本格ミステリという印象。ただ最後まで読むとホラーになっているという見事な構成です。前作とはまた違ったテイストで本格の醍醐味を味あわせてくれます。はっきり言って今年のロジック本格ミステリの中では最高作だと思うんですが、読みにくいのが難点です。
中盤の人間消失分類なんか、本格ファンならニヤニヤしながら読むこと間違いなしなんですが、普通のミステリ読みは置いてけぼりですね。単に文章が下手なだけかもしれませんが、本格ミステリを作る才能には凄いものがあります。
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