都筑道夫『朱漆の壁に血がしたたる』

朱漆の壁に血がしたたる (光文社文庫)
朱漆の壁に血がしたたる

石川県の山村で30年前に発生した奇怪な未解決殺人事件について調査してほしいという推理作家の依頼を受けて、現地で聞き込みを行っていた片山直次郎だが、直次郎が取材した先で連続殺人事件が起こってしまう。朱漆で塗られたいわくつきの土蔵の中で刺殺された娘、土蔵の中には他に直次郎しかおらず、しかも土蔵を出入りした者は誰もいなかった。こうして筆頭容疑者として直次郎は警察に連行されてしまう。直次郎は上司の物部太郎に電話で助けを求めるが、なまぐさ太郎は東京を動こうとしない。そこへ第三の殺人事件が発生し・・・。

物部太郎三部作、完結編。
今回も凄惨な連続殺人の謎を物部太郎が鮮やかな論理で解明する、正統派本格ミステリの粋を味わえます。
ただ、物語や推理の質としては『最長不倒距離』に及ばないかな、という印象。しかし3作とも名作の名にふさわしい素晴らしい本格ミステリでした。
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