道尾秀介『シャドウ』

シャドウ (ミステリ・フロンティア)
シャドウ

母親が癌で死んでから、小学5年生の凰介の周りはだんだんとおかしくなった。沈んでいた凰介と父洋一郎だが、運動会のために久しぶりに学校に行くと、幼馴染の亜紀の様子がおかしかった。昨日電話で話したときは元気だったのに、運動会も途中で帰ってしまった。その日、亜紀の母親が、夫の勤める医科大学の研究棟屋上から投身自殺した。自宅に残された遺書には、夫への恨みが記されていた。亜紀の父親は正気を失い、亜紀自身もまた交通事故に遭って病院に運ばれた。そして、大学病院に勤める凰介の父、洋一郎の様子もおかしくなっていった。あのときのように・・・。

快調に飛ばしている注目の新人(彼を新人と呼ぶのももうこれが最後になるかな)の第4長編。
相変わらず高水準のミステリです。ミステリ以前に物語として高いレベルを保っているのが素晴らしいですね。
ミステリとしては今回はそこまで凄いとは思いませんでしたが、少年の成長物語として興味深く読みました。
そろそろ年末ランキング選定の季節ですが、道尾秀介はどう評価されますかね。人によっては3冊とも年間ベスト級と評価するかもしれません。それくらい、今年の道尾秀介は良かった。「マン・オブ・ザ・イヤー」認定でしょう。個人的には三津田信三も今年2冊ともにベスト級だと思いますが。
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