島田荘司&西澤保彦

最後の一球
最後の一球

1993年、御手洗の事務所を一人の青年が訪問した。母親が何か悩みを持っていて遺書を書いていたという。結局御手洗と石岡は青年の郷里にやってきた。そこで青年の母親と面談した御手洗は、母親の深刻な悩みを見抜き、自分に出来ることはほとんどないことを悟る。しかししばらく経って、ある業者ビルの屋上で火事が起こったことによって、母親とともに多くの人々が悩みから開放されることになる。誰も出入りできなかったビル屋上で、なぜ狙い済ましたような火事が起こったのか?

春の魔法のおすそわけ
春の魔法のおすそわけ

ひどい嘔吐感とともに気がつくと、鈴木小夜子は大都会東京の朝の喧騒の中にいた。昨夜朝方まで飲んで、前後不覚のまま電車に乗って、どことも知れぬまま降りたらしい。手には、小夜子がいつも携帯している財布などが入ったポーチはなく、見知らぬバッグが握られており、電車の中で取り違えたようだ。半ばあきらめてバッグの中を覗くと、小夜子は腰を抜かした。バッグの中には札束が入っていたのだ――。

今回は豪華2本立て。というよりも感想文待ちの読了本が2冊あったというだけで、だいぶ前に読み終わったものです。
島田荘司は、放火事件の脚色をちょっと変えて演出を工夫すれば、映像化できそうなストーリー。いずれにせよ御手洗が登場する必然性は薄いですが。
西澤保彦を読むのは久しぶりですが、本当にさらりと読める作品でした。作者の肩の力が抜けているのが分かります。主人公がビールを飲んでいるシーンがやたら多いのは、多分作者がビールを飲みながら書いているせいではないかと勝手に考えています。酩酊感のあるストーリーでした。
>感想ページ