まとめて

時を巡る肖像
時を巡る肖像

物事の実装を視覚的に捉え描く「天眼」の持ち主である隻眼の巨匠、冷泉朋明。冷泉の絵画を修復するために泊り込んでいた絵画修復士・御倉瞬介は、訪れた宿泊客が殺害され、冷泉自身もまた怪我を負う事件に遭遇する。事件当夜、瞬介は寝ぼけ眼で冷泉の眼帯が入れ替わっているのを目撃した――。(「ピカソの空白」)

塔の断章―ここにミステリ宿る (講談社ノベルス)塔の断章 (講談社文庫)
塔の断章

『機械の森』という小説を原作としたゲームの開発のために集まった男女、彼らはひと時の休養を過ごすために湖畔の別荘にやってきた。しかしその夜、別荘に敷設された塔の上から、デザイナーの香織が墜死した。自殺か、他殺か。いずれにせよ動機として考えられるのは、彼女が妊娠していたということ。プロジェクト・リーダーの天童と原作者の辰巳は、彼女の死の真相を探るために捜査を開始した・・・。

七回死んだ男 (講談社文庫)
七回死んだ男

一代で財を成した渕上零次郎の邸宅に、その正月も一族が集まって、姉妹が醜い遺産分与争いを繰り広げる。時間の「反復落とし穴」にはまると同じ一日を9回繰り返してしまうという特異体質を持った孫の久太郎は、零次郎老人と飲み明かした翌日、「反復落とし穴」にはまったことに気がついた。ひどい二日酔いに苦しんだ久太郎は、同じ苦しみを何度も繰り返したくないことから老人との宴会を回避したが、その結果、零次郎老人が死んでしまうというイレギュラーな事件が起こる。お酒を飲まず、かつ祖父が死なないように画策する久太郎だが・・・!?

しばらく前から感想のみアップしていた分をまとめて紹介。
『時を巡る肖像』は今回の本格ミステリ大賞候補作にも挙がっており、確かに良質の短編集に仕上がっていました。政宗九さん(id:mmmichy)のところの恒例企画もはじまったことだし、タイムリーな感想アップかと。
『塔の断章』は古本屋で購入。なんとも乾くるみらしいひねり具合。
『七回死んだ男』は、とりあえず傑作が読みたいと無性に思ったので何度目かの再読。きたろー的にはオールタイムベスト級の傑作だと思っています。ミステリ的に云々以前に、読み出したら止まらない面白さに夢中になっているうちに、最後になって驚かされ、読了後には爽やかな満足感が残る、そんな作品。
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