訃報

天城一さんが亡くなられたそうです。 山沢晴雄氏や日下三蔵氏の尽力により、近年再評価がなされ、私にとっても印象深い作家となっていただけに、残念です。 ご冥福をお祈りします。天城一の密室犯罪学教程作者: 天城一,日下三蔵出版社/メーカー: 日本評論社…

最近のまとめ

忙しくてブログをアップする余裕も、感想文を書く暇も、ドイツ旅行記をまとめる時間もありません。 時間がないなりに、久しぶりにWebにつないだ記念に何か残しておきたいので、最近読んだ本を列挙してみます。月光ゲーム―Yの悲劇'88 (創元推理文庫)作者: 有…

有栖川有栖『女王国の城』

女王国の城 著者:有栖川有栖 出版:東京創元社 2007年9月 バブル花盛り、その時流に乗って急成長した宇宙人の降臨を待ちわびる新興宗教「人類協会」の聖地がある神倉村で、江神二郎が消息を絶ったことがわかった。そのことを知って神倉村に急行したモチ、信…

ドイツ旅記録2007(その3)

5日目、ベルリンからICE(Inter City Express)に乗って第二の目的地、コブレンツへ。特急は前日に予約していたのですが、時間を間違えて乗り逃すというアクシデント(?)発生orz 仕方なく座席予約を取り直し、1時間後の列車に乗りました。待っている間は暇…

ドイツ旅記録2007(その2)

3日目と4日目はひたすら図書館通い。ドイツ語が下手なドイツ研究者タマゴ(矛盾)のために、図書館員の人が日本語のできる所員(癒し系の女の人でした)を呼んでくれたりして、何とか所期の目的を果たせました。ありがとうDamen und Herren! 土曜日は図書館…

ドイツ旅記録2007(その1)

先月、2週間ほどドイツに行ってきました。簡単な旅の記録を残しておきます。 初日はひたすら飛行機と空港の中。成田からフランクフルトまでで11時間だから、他の行程も含めたら20時間は拘束されたのではなかろうか。ヨーロッパに行くのはいいんですが、この…

今年のホークス

終わりましたねえ。レギュラーシーズン3位、クライマックスシリーズは第1ステージ1勝2敗で敗退。成績と照らし合わせても、妥当な結果という印象。 ヤンキースの松井じゃないけど、これが今年のホークスの力だったんですねえ。来年はぜひとも高レベルなチーム…

柄刀一『密室キングダム』

密室キングダム 著者:柄刀一 出版:光文社 2007年7月 「壇上のメフィスト」の異名を取る稀代の天才マジシャン、吝一郎。手先が麻痺するという病気を克服してついに復活ステージを迎えた彼は、大成功を収めたその日、観客の一部を自宅に招待して行なったエク…

古野まほろ『天帝のつかわせる御矢』

天帝のつかわせる御矢 著者:古野まほろ 出版:講談社ノベルス 2007年6月 西満州からの攻撃を受けて首都陥落の危機にある満州帝国。その混沌のきわみの中に精神に傷を受けて満州に滞在していた古野まほろもいた。彼は恩師の友人である二条警視正の計らいで、…

米澤穂信『インシテミル』

インシテミル 著者:米澤穂信 出版:文藝春秋 2007年8月 「年齢性別不問。一週間の短期バイト。ある人文科学的実験の被験者。拘束時間は24時間を1週間。時給1120百円」――誰もが何かの冗談か書き間違いだと思った時給11万2千円のアルバイト。様々な事情からバ…

歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』他

密室殺人ゲーム王手飛車取り 著者:歌野晶午 出版:講談社ノベルス 2007年1月 ネット上に集う5人のミステリ・マニアたち――「頭狂人」「044APD」「aXe」「ザンギャ君」「伴道善教授」。彼らのうち一人が推理ゲームの出題をして、おのおのが推理しあう。今回の…

山沢晴雄『離れた家』

離れた家 山沢晴雄傑作集 著者:山沢晴雄 編者:日下三蔵 出版:日本評論社 2007年6月 砧最初の事件 銀知恵の輪 死の黙劇 金知恵の輪 扉 神技 厄日 罠 宗歩忌 時計 離れた家 金融業者の馬場金造が殺害された。被害者の遺産や保険金を受け取る唯一の親族が容…

第23回福岡県吹奏楽コンクール(高校の部)

今聴いてきました。例年に比べてもレベルの高い大会になったのではないかと思います。中堅層のレベルアップが激しいですね。 プログラム・結果は以下の通り。 第23回福岡県吹奏楽コンクール 高等学校の部 8月4日(土) 於:福岡サンパレス 九州女子高校 4/…

西澤保彦『収穫祭』

収穫祭 著者:西澤保彦 出版:幻冬舎 2007年7月 1982年8月12日、台風のために暴風雨に見舞われた首尾木村。村の中学生ブキ、カンチ、ゲンキの3人は、カンチの家の離れに集まって夜をすごしていたが、同級生の繭子の悲鳴を聞いて様子を見に行くと、繭子の家族…

吹奏楽コンクール福岡支部予選(高校の部)

第52回福岡吹奏楽コンクール・高校の部2日目を(途中まで)見てきましたよ。城東や精華など全国大会常連校がひしめき合うブロックですから、例年レベルが高いわけですが、今回はいまひとつ低調ですかねえ。以下、ピックアップして感想。 九州の横綱、福岡工…

昨日の報道ステーション

なんとなくテレビをつけていたら、「報道ステーション」で福島瑞穂社民党党首が出演していました。ちなみに、私個人的に「報道ステーション」は、そのワイドショー的扇情的スクープ優先的浅薄的姿勢が嫌いなんですが、時間帯のせいなのかテレビをつけるとこ…

西澤保彦『麦酒の家の冒険』

麦酒の家の冒険 著者:西澤保彦 出版:講談社文庫 2000年(講談社ノベルス 1996年) 夏の終わり、高原に出かけたタックら四人組はその帰り道、山の中の迂回路でガス欠のために立ち往生してしまう。仕方なく、近くにあるという民家に救いを求めてさまよう4人…

アガサ・クリスティー『青列車の秘密』

青列車の秘密 著者:アガサ・クリスティー(田村隆一訳) 出版:ハヤカワ文庫 1982年(原書 1928年) ロンドンからパリへと向かう青列車の中で、富豪婦人の遺産を相続したキャザリンと、アメリカ大富豪の一人娘ルスは出会った。しかしリヨン駅につく直前の夜…

2007年度吹奏楽コンクール課題曲

今年のコンクールも実はもう始まっているわけですが、きたろーは課題曲を「なにわ」のCDで初めて聴きました。 で、遅ればせながらその感想。 課題曲I:ピッコロマーチ タイトルに現れているような軽やかさを出すにはとても難しい曲だと思いました。特に前半…

田村栄子・星乃治彦編『ヴァイマル共和国の光芒』(その2)

というわけで内容について。本書は6名の執筆者による論文集で、全部でIII部9章から成っている。 序章 ヴァイマル共和国研究史―「ナチズムと近代の相克」の視点から―(田村栄子) 第I部 「国民国家」ヴァイマルの実相 第1章 国民国家・地域・マイノリティ(伊…

田村栄子・星乃治彦編『ヴァイマル共和国の光芒』

ヴァイマル共和国の光芒―ナチズムと近代の相克作者: 田村栄子,星乃治彦出版社/メーカー: 昭和堂発売日: 2007/05メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (7件) を見る 日本におけるヴァイマル共和国研究の決定版、とも言うべきものが出た。もち…

なにわ《オーケストラル》ウインズ2007

なにわ《オーケストラル》ウインズ2007 蘇る火の鳥(スティーヴン・ライニキー) ウィリアム・バード組曲(ゴードン・ジェイコブ) 序曲「春の猟犬」(アルフレッド・リード) H.R.H.ケンブリッジ公(マルコム・アーノルド) アンデルセン物語(マーティン・…

「ゴスフォード・パーク」

ゴスフォード・パーク(2001) 監督:ロバート・アルトマン 出演:マギー・スミス、マイケル・ガンボン、クリスティン・スコット=トーマス、エミリー・ワトソン 映画館でも観ましたが、久しぶりにまた観たくなってレンタル。 1930年代イギリス、貴族たちが…

西澤保彦『ソフトタッチ・オペレーション』

ソフトタッチ・オペレーション 神麻嗣子の超能力事件簿 著者:西澤保彦 出版:講談社ノベルス 2006年11月 無為侵入 闇からの声 捕食 変奏曲<白い密室> ソフトタッチ・オペレーション 上地浩美♂は、馴染みの居酒屋で開店前に看板娘と飲んでいたところ、気が…

カント『永遠平和のために』

永遠平和のために (岩波文庫)作者: カント,Immanuel Kant,宇都宮芳明出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1985/01/16メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 24回この商品を含むブログ (57件) を見る 大学で使用する都合で再読。平和学を学ぶ上でまず読むべき古典…

交響曲第3番「プラネット・アース」

Johan de Meij : Planet Earth [rakuten:bandpower:10002131:image] ウィンディ・シティ序曲 エクストリーム・メイク・オーヴァー 交響曲第3番「プラネット・アース」 作曲:ヨハン・デ=メイ 指揮:ヘンリー・アダムズ 演奏:アルティスティカ・ブニョル交…

『ナポレオン 獅子の時代』第6・7巻

ナポレオン 6―獅子の時代 (ヤングキングコミックス)作者: 長谷川哲也出版社/メーカー: 少年画報社発売日: 2006/09/27メディア: コミック購入: 5人 クリック: 11回この商品を含むブログ (19件) を見るナポレオン 7―獅子の時代 (ヤングキングコミックス)作者: …

『のだめカンタービレ』第18巻

のだめカンタービレ (18)(講談社コミックスキス)作者: 二ノ宮知子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/06/13メディア: コミック購入: 3人 クリック: 62回この商品を含むブログ (376件) を見る あれ? 千秋パパはどこ行ってしまったんだろう? それはともか…

大津留厚『ハプスブルクの実験』

ハプスブルクの実験 多文化共存を目指して 著者:大津留厚 出版:中公新書 1995年(増補改訂版 春風社 2007年) 「ハプスブルク」といえばシェーンブルン宮殿に代表される華麗な宮廷文化、マリア・テレジアやマリー・アントワネットなどの皇室の女性たちが有…

大倉崇裕『警官倶楽部』

警官倶楽部 著者:大倉崇裕 出版:ノンノベル 2007年2月 「警官倶楽部」――それは鑑識、盗聴、尾行、情報収集、射撃など、本職顔負けの技術を持った警官マニアたちが、警察の真似をして現場で捜査の真似事をする秘密組織だ。メンバーの森田と関谷は警官の制服…