新刊ミステリ

道尾秀介『シャドウ』

シャドウ 著者:道尾秀介 出版:東京創元社 2006年9月 母親が癌で死んでから、小学5年生の凰介の周りはだんだんとおかしくなった。沈んでいた凰介と父洋一郎だが、運動会のために久しぶりに学校に行くと、幼馴染の亜紀の様子がおかしかった。昨日電話で話し…

京極夏彦『邪魅の雫』

邪魅の雫 著者:京極夏彦 出版:講談社ノベルス 2006年9月 探偵・榎木津礼二郎のもとに舞い込んだ見合い話が、まだ会う前から次々と破談になっていく。探偵に黙って調査を開始した益田は、破談どころか彼女たちが行方不明になっていることを知って、何か邪悪…

島田荘司『溺れる人魚』

溺れる人魚 著者:島田荘司 出版:原書房 2006年7月 溺れる人魚 人魚兵器 耳の光る児 海と毒薬 島田荘司、今年2冊目の新刊。実はもう一冊、『UFO大通り』が出ているのだった。凄いなあ。 「人魚」をキーワードに4作が収録されています。「耳の光る児」は人魚…

芦辺拓『探偵と怪人のいるホテル』

探偵と怪人のいるホテル 著者:芦辺拓 出版:有楽出版社 2006年9月 探偵と怪人のいるホテル 仮面と幻夢の踊る街角 少年と怪魔の駆ける遊園 異類五種 疫病草紙 黒死病観のホテル F男爵とE博士のための晩餐会 天幕と銀幕の見える場所 屋根裏の乱歩者 伽羅荘事…

三津田信三『凶鳥の如き忌むもの』

凶鳥の如き忌むもの 著者:三津田信三 出版:講談社ノベルス 2006年9月 黒い巨大な禿鷹が舞う孤島・鳥坏島で、謎に包まれた祭祀「鳥人の儀」が十何年ぶりかに行われることになった。しかし過去に行われた「鳥人の儀」では、儀式を執り行う巫女をはじめ、参加…

石持浅海『顔のない敵』

顔のない敵 著者:石持浅海 出版:光文社カッパ・ノベルス 2006年8月 収録作 地雷原突破 利口な地雷 顔のない敵 トラバサミ 銃声ではなく、音楽を 未来へ踏み出す足 暗い箱の中で 本格ミステリとして全体的に質が悪い、というのもあるんですが、どうも話の持…

柳広司『トーキョー・プリズン』

トーキョー・プリズン 著者:柳広司 出版社:角川書店、2006年3月 終戦間もない日本、廃墟と化したトーキョーでは、日本中から集められた戦犯たちがスガモ・プリズンに拘留され、それとともに東京裁判が着々と進行していた。ニュージーランドで探偵業を営む…

三津田信三『厭魅の如き憑くもの』

厭魅の如き憑くもの 著者:三津田信三 出版:原書房 2006年3月 憑物筋の黒の家と白の家が勢力を二分し争っている神々櫛村。そこでは、「カカシ様」と呼ばれる山の神が信仰されており、村のいたるところに「カカシ様」が祀られているのだった。村では神隠しや…

貫井徳郎『愚行録』

愚行録 著者:貫井徳郎 出版:東京創元社 2006年3月 東京都内の一戸建て住宅で、幼い子供を含む田向家一家4人が惨殺されるという凶悪事件が発生した。現場には犯人を特定する手がかりは残されておらず、怨恨か無動機かも警察には判断できなかった。夫は大手…

山田正紀『カオスコープ』

カオスコープ 著者:山田正紀 出版:東京創元社 2006年7月 ぼくは解離性記憶障害なのか。鳴瀬君雄は過去の一時期以降の記憶を再生できない。彼が乗っていた車がコンテナを積んだトラックと正面衝突したが、車からはじき出されたおかげで奇跡的にほとんど無傷…

日向旦『世紀末大バザール』

世紀末大バザール 六月の雪 著者:日向旦 出版:東京創元社 2006年6月 世紀末の1999年5月、地球滅亡まであと4週間から2ヶ月だと思い込んでいる本田巧は、地球が滅亡する前に自分が飢え死にしそうだった。地球最大最後のイベントを見逃してたまるかと食い扶持…

山田正紀『翼とざして』

翼とざして アリスの国の不思議 著者:山田正紀 出版:光文社カッパ・ノベルス 2006年5月 ベトナム反戦運動、沖縄返還、そして南西諸島の領有権をめぐって揺れる70年代の日本。左翼運動が退潮期に入る中で、活発な活動を展開していた右翼青年団体「日本青年…

有栖川有栖『乱鴉の島』

乱鴉の島 著者:有栖川有栖 出版:新潮社 2006年6月 瀬戸内海に浮かぶ鳥島に骨休みにやってきた火村助教授と作家の有栖川有栖は、船を動かしてくれた漁師の手違いで、烏が乱舞する通称烏島にやってきてしまう。烏島には、大詩人で英文学者でもある海老原瞬の…

大山誠一郎『仮面幻双曲』

仮面幻双曲 著者:大山誠一郎 出版:小学館 2006年7月 昭和22年11月、私立探偵の川宮圭介・奈緒子兄妹は、占部製糸社長・占部文彦の依頼を受けて、その邸宅を訪れた。文彦は、弟の武彦が自分の命を狙っているとうったえる。一卵性双生児として文彦とそっくり…

芦辺拓『少年は探偵を夢見る』

少年は探偵を夢見る 森江春策クロニクル 著者:芦辺拓 出版:東京創元社 2006年3月 少年はキネオラマの夢を見る 幽鬼魔荘殺人事件と13号室の謎 滝警部補自身の事件 街角の断頭台 時空を征服した男 遂に少年時代の森江春策も登場。しかもこのころから凄い推理…

島田荘司『帝都衛星軌道』

帝都衛星軌道 著者:島田荘司 出版:講談社 2006年5月 息子が誘拐された。犯人が要求してきた身代金はたったの15万。内々に解決したいとする妻を説得し、警察の協力を仰いだ。警察が周囲を固める中、犯人の言われるままにトランシーヴァーを装着し、山手線に…

北村薫『紙魚家崩壊』

紙魚家崩壊 九つの謎 著者:北村薫 出版:講談社 2006年3月 溶けていく 紙魚家崩壊 死と密室 白い朝 サイコロ、コロコロ おにぎり、ぎりぎり 蝶 俺の席 新釈おとぎばなし 北村薫のノンシリーズ短編集。表題作と「死と密室」はシリーズもので、「サイコロ」と…

乙一『銃とチョコレート』

銃とチョコレート 著者:乙一 出版:講談社 2006年5月 富豪が持つ財宝を次々と鮮やかな手口で盗んでいく怪盗ゴディバ。そして警察とともにゴディバに立ち向かうのは、われらがヒーロー、名探偵ロイズだ。“移民”の少年リンツは、父の形見となった聖書の中に入…

草上仁『文章探偵』

文章探偵 著者:草上仁 出版:早川書房 2006年5月 中堅ミステリ作家の左創作は、文章から書いた人物の特徴をプロファイリングする「文章探偵」を自任している。彼はその能力を生かして、収入の不足を補うために小説創作講座の講師も務めていた。ある日、女性…

小森健太朗『魔夢十夜』

魔夢十夜 著者:小森健太朗 出版:原書房 2006年5月 新学期、もと全寮制女子高だった慈久学院の2年生、丹崎恵は寮に入ったのを期に気になっていた文芸部に入部する。この学校の文芸部からライトノベルでデビューしたプロの作家がいるようなのだ。入部した日…

東川篤哉『殺意は必ず三度ある』

殺意は必ず三度ある 著者:東川篤哉 出版:実業之日本社ジョイ・ノベルス 2006年5月 私立鯉ヶ窪学園が誇る弱小野球部のグラウンドから、ベースが4つとも盗まれた。野球部キャプテンから相談を持ちかけられたオレたち探偵部「三馬鹿」の面々にも、その真相は…

米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』

夏期限定トロピカルパフェ事件 著者:米澤穂信 出版:創元推理文庫 2006年 小佐内さんと小鳩君は、恋愛関係にもなければ依存関係にもない、互恵関係にある高校生。それぞれの中学生時代からの苦い経験から、高校生活は目立たずひっそりと日々を平穏に暮らす…

道尾秀介『骸の爪』

骸の爪 著者:道尾秀介 出版:幻冬舎 2006年3月 ホラー作家の道尾は、小説の取材という名目で、滋賀県の山中にある仏所「瑞祥房」を訪問した。その夜、仏像の保管所に忘れ物をした道尾は、それを取りに暗闇を歩いていたとき、ある仏師が彫り残したという千手…

藤岡真『白菊』

白菊 著者:藤岡真 出版:創元推理文庫 2006年3月 画商を営む相良蒼司は、世間的にはサイコメトリーを得意とする超能力者としてテレビ番組にも出演する有名人である。しかしながらその実態は、類稀な推理力を駆使して超能力のごとく見せかける、イカサマ超能…

法月綸太郎『怪盗グリフィン、絶体絶命』

怪盗グリフィン、絶体絶命 著者:法月綸太郎 出版:講談社 2006年3月 「あるべきものを、あるべき場所に」をモットーとするニューヨークの怪盗グリフィンのもとに、メトロポリタン美術館に所蔵されているゴッホの自画像を盗んでほしいという依頼が舞い込む。…

綾辻行人『びっくり館の殺人』

びっくり館の殺人 著者:綾辻行人 出版:講談社 2006年3月 叢書:ミステリー・ランド 学生街の古本屋で見つけた鹿谷門実の小説。「僕」はその著者近影と、作中で語られる建築家「中村青司」の名に覚えがあった。あれは「僕」が10年前の小学生のときに体験し…

佐飛通俊『円環の孤独』

円環の孤独 著者:佐飛通俊 出版:講談社ノベルス 2006年 2050年、人類史上初となる宇宙空間に浮かぶホテルの客室のなかで、殺人事件が発生した。殺害されたのは高名な探偵であるハロルド・メルヴィル卿(通称H・M卿)で、明らかに他殺と分かる状況であっ…

鯨統一郎『パラドックス学園』

パラドックス学園 開かれた密室 著者:鯨統一郎 出版:光文社カッパ・ノベルス 2006年1月 新学期、新入生のワンダ・ランドは「パラドックス学園パラレルワールド研究会」通称「パラパラ研」の部室の門をたたいた。「パラパラ研」の先輩は驚くべきメンバーだ…

今回は4冊同時アップ

法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー (角川文庫)作者: 法月綸太郎出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/10/25メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 32回この商品を含むブログ (52件) を見る テロリストのパラソル (講談社文庫)作者: 藤原伊織出版社/メー…

太田忠司『予告探偵 西郷家の謎』

予告探偵―西郷家の謎 (C・NOVELS)作者: 太田忠司出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2005/12メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (53件) を見る 戦争の傷がまだ癒えない1950年、名家西郷家のもとに一通の手紙が届けられた。「12月4日12時、…